19世紀、フランスを中心にヨーロッパに巻き起こったジャポニズム(日本趣味)をきっかけにゴッホ・モネ・ロートレックなど当時のヨーロッパの印象派の画家たちに多大なる影響を与えた浮世絵。今まで見た事も無い克明に描かれた日本の生活風俗の絵画描写に彼らは驚愕しました。
浮世絵は肉筆と木版画を共有する独自の文化を持ちながら、特に木版画の他に類を見ない多色摺などその技術を進化させていきます。印象派の画家達はその中で肉筆ではなく、木版画の芸術技法に大いなる興味を注いだと言われています。
ここに紹介する作品は、日本独自の版元制度によって制作された木版画で、絵師・彫師・摺師の三位一体の協力体制から生まれる伝統文化・技術の結晶であります。
当時の浮世絵では、絵師・彫師・摺師を取り仕切る今で言うプロデューサーのような役割の版元と画家(絵師)のみの記載がほとんどですが、彫師・摺師の技術が非常に繊細で高度なものであり作品の出来に大きな影響を持っていたかは言うまでもありません。
職人と呼ばれる彫・摺の卓越した技法・技術は、現在も伝承され、浮世絵の復刻作品や現代版画作品に生かされています。世界に誇る浮世絵の基礎となる彫・摺の技術を継承するために、再び世界的名声を得るために伝統を守りつつ新しい挑戦を続け、今までに見た事の無いような作品制作をして行きます。